To: "短説ML座会" <tansetsu@mlc.nifty.com>
Sent: Saturday, September 15, 2001 1:51 AM
Subject: [tansetsu.363] 作品「平成十三年九月十二日、朝」向山葉子
From: "水南 森"
To: <tansetsu@mlc.nifty.com>
Sent: Saturday, September 15, 2001 5:00 AM
Subject: [tansetsu.365] Re: 作品「平成十三年九月十二日、朝」
「平成十三年九月十二日、朝」、拝読。
僕は、未だにこの事件をまとめきれずにいるので、母親という視点からしっかりと書いていることに羨ましささえ感じます。
今の日本には徴兵制はありませんが、いつか世の中が不安になって、そういう時代になると、今の子供達は徴兵されるかもしれません。義人君はガッツの隊員になる夢を持っているようですが、母親という立場にいると、こうした事件には敏感になるのでしょう。
子供達の無邪気さがあるだけに、母親にとっては切実です。
最後の
> 怪獣の方がまだましかもしれない。人間の
>理性を超越しているから。はじまったばかり
>の二十一世紀、怪獣よりも怖いものを見てし
>まった朝。子供たちは、まだ知らない。日本
>は、世界は、どこにいってしまうのか。
が、切実です。
僕の中では、この事件を巡って、五十嵐と水南が議論をしています。
五十嵐は、どんな理由があれ、このテロは許せないと思っています。水南は、しかしアメリカは直接手を下していなかったり、もっと分かりづらい方法で、これ以上の殺戮をしてきたのだと主張しています。水南の言い分では、アメリカが世界最大の武器輸出国であることを考えると、アメリカ自身がアメリカの航空会社の旅客機で攻撃されたのは、極めて象徴的だということになります。五十嵐は、日本人にも何人も行方不明者が出ている状況で、アメリカによる報復を支持するという日本政府のスタンスに疑問を感じています。水南は、最初、法の裁きを受けさせると言っていたアメリカが、犯人が特定されしだい攻撃する雰囲気になってきたことに違和感を感じています。やはり、アメリカは自身が「法」であるという正義感に浸っているのでしょうか。五十嵐は、日本の某閣僚が、日本はアメリカの同盟国としての真価が問われていると言った発言に、納得がいかないようです。問われているのは、日本の独立国としての真価なのではないかと・・・。
こんな噛み合わない議論を繰り返しているばかりの、今日この頃です。
今日は、僕は朝一人の少年を迎えに行きます。以前から利用の予定があった方で、現在お父さんが出張中。お母さんに用事ができたのですが、その間、車イスの少年をみる人がいないので、何時間かお預かりする予定でした。そして午前中に出張から帰ってきたお父さんが迎えに来てくれるはずだったのですが・・・。出張先がアメリカで、大幅に帰国が遅れる様子。出張先が、ニューヨーク、ワシントンでなかったことが、せめてもの救いなのでしょう。
五十嵐と水南が議論している間にも、実生活での影響はジワジワ出てきます。そのうち、経済的な影響が大きく見えてくるかもしれません。
母親というポジションにいる人がもつ、ラディカルさを、葉子さんの作品に感じています。
(水南 森/五十嵐正人)
From: "金子 敏"
To: <tansetsu@mlc.nifty.com>
Sent: Saturday, September 15, 2001 11:44 PM
Subject: [tansetsu.366] ML 座会の皆様
・向山葉子作品「平成十三年九月十二日、朝」
湾岸戦争の時、戦争をテレビ中継で見られるなんてと思ったものですが、テロ事件までライブで目にすることができるとは、驚き以外の何ものでもありません。ところで、湾岸の際は、原油にまみれた海鳥の姿を、戦争の酷さとして象徴的に表現した短歌が多く作られましたが、今回のテロについてはどのような場面が象徴として使われるのだろうかと考えていたところでしたので、向山さんの作品を読んで、やはりあのビル崩壊しかないかと思った次第でした。あの中継を一緒に見ておりました愚妻が、咄嗟に「ゴジラ」を思い浮かべたと言ったのは、ヨシト君との世代差でしょうが、小生にしても、大がかりなイリュージョンマジックを見ているような気にさせられていました。
> 怪獣の方がまだましかもしれない。人間の
>理性を超越しているから。はじまったばかり
>の二十一世紀、怪獣よりも怖いものを見てし
>まった朝。子供たちは、まだ知らない。日本
>は、世界は、どこにいってしまうのか。
まったく同様の思いでいっぱいです。
(金子 敏)
From: "Ashihara Shuji"
To: <tansetsu@mlc.nifty.com>
Sent: Saturday, September 22, 2001 12:14 PM
Subject: [tansetsu.370] Re: 作品「平成十三年九月十二日、朝」
向山さんの「平成十三年九月十二日、朝」を「短説」9月号至急特集に掲載
向山さんの作品拝読しました。今日の日本人の不安、心の動揺が明確に表記されていて感銘をうけました。
東京座会では秋葉信雄さんが「イエロー・リボン」という、作品を出されて、事件への心情を表現されています。また折しも、石川正子さんが「あんちゃん」という作品を書いて第二次世界大戦で満州へわたった少年の苦悩を妹の視点で書いています。
この「あんちゃん」を仏訳して原文とならべ、これに向山さんの作品と秋葉さんの作品を巻頭につらね、日本人のいまおかれている複雑な戦争への思いを、誌上に構成してみました。
発表順が、例月によらない、特急の特集ものになりましたが、今回のニューヨークならびにワシントンにおけるテロへの短説からの態度表明としてみました。このことをLM座会の皆様にまずはお知らせしておきたく配信させていただきます。なおこの9月号は25日火曜日には責了になる予定です。金子さんにはまたお世話になります。よろしくお願いします。
いずれにしても、アメリカのこんどの戦争は長期にならざるを得ないでしょう。日本もその外側に居続けるわけにはいかないでしょう。まことに心の重い21世紀がはじまったものです。
(芦原 修二)
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