桜の文化史−日本文学の原質を究める
古代から現代に至る詩歌、物語、小説から解きあかされる、日本人にとっての桜。小川和佑先生のライフワークともいえる研究の、一端に触れるチャンスだ。
〔講座趣旨〕
私達は春・桜が咲けば年毎に桜の花の下に集い遊宴に歓楽を尽す。なぜ、日本人はこうも桜が好きなのであろうか。その桜愛を遠い古代から現代までの詩歌と物語・近現代小説によって説き明かす。
それとともに、いま300余種の桜の中から、時代毎に愛された桜品のエピソードを歴史・文学に拠りながら、桜美をわが眼で見ていくことが講座の趣旨である。昨年の「刀と日本人」に続く“日本を知る「文学」”講座である。
第1講 古代の大和丘陵から始まる(4月12日)
第2講 桜を観にゆく−観桜フィールドワーク−(4月19日)
第3講 「万葉」の桜から「古今」の桜へ(5月17日)
第4講 左近の桜をめぐる物語(5月31日)
第5講 桜美の完成者たち(6月7日)
第6講 聖なる樹から遊楽の花へ(6月21日)
☆テキスト:『桜誌−その文化と時代−』 原書房 1,600円(税別)
ご注文は、直接〔原書房〕へ
第1講 江戸の桜・東京の桜(10月4日)
江戸俳諧と桜図鑑の流行。攘夷と「国華」思想化する桜。東京の桜・染井吉野の出現。
第2講 明治の桜の物語(10月18日)
ベルツの花見とハーンの「怪談」の桜。「新体詩抄」には桜の詩がない。
桜歌を甦らせた吉井勇。
*以下、日程が変更になりました。
第3講 桜のうた人たち(10月25日)
白秋の桜・牧水の桜。朔太郎の病める桜。死と再生の桜・梶井基次郎。
第4講 現代文学と桜(11月8日)
坂口安吾「桜の森の満開の下」。五味康祐の士道の桜「薄桜記」。
桜復興と水上勉の「桜守」。
第5講 (観桜フィールドワーク)日比谷公園の「十月桜」を観る(11月22日)
〔集合〕13:00
〔集合場所〕東京駅・丸ノ内口→日比谷公園の十月桜を観る野外講義。
園内遊歩して帝国ホテルロビーで解散。解散後、希望者と7階ティールームで懇談。
*雨天、開花状況によっては、12月6日に順延。
第6講 唯美の桜の文学(12月6日)
中村真一郎・宇野千代の桜。渡辺淳一・村上春樹の桜。
第7講 辻井喬と城山三郎の桜(12月13日)
「西行桜」と「花びらの幸福」。都の花としての桜。
東京で最も早い桜・高輪プリンスホテルの河津桜。
☆テキスト:『日本の桜、歴史の桜』 NHKライブラリー 1,020円(税別)
ご注文は、直接〔NHK出版〕へ