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小川和佑著『唱歌・讃美歌・軍歌の始源』カバー
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唱歌・讃美歌・軍歌の始源

アーツアンドクラフツ
平成17(2005)年10月31日発行
定価(税込):2,415円
286頁 四六判
ISBN4-901592-30-0

「新しい海外からの歌声は(中略)「士族」たちによって広められた。この士族たちによって創始された讃美歌と唱歌を時代の流れを縦軸にし、唱歌から童謡までをそれぞれのテーマごとに、唱われた歌の始源と時代の背景を歌詞に沿って説き明かしてゆく。一つの歌がどのように創られ、どのように歌われたか。」(「まえがきにかえて」より)
 かつて三十代の前半に、讃美歌、唱歌の注釈、書誌解題に携わった著者が、七十代になって満を持して書き下ろした渾身の評論。豊富な資料に貴重な図版も多数収録。まさに「新しい視点からの歌謡の物語」である。下手な解説より、目次をそのまま写したほうが良いであろう。

〔目次〕
まえがきにかえて  (すべてを新しく……  あの歌、この歌はどこから……)
プロローグ あまつましみづ ながれきて ――讃美歌 開化のメロディ
  ・耶蘇我を愛す ――文明の歌声  ・じひのひかりに けふよりは ――日本人が歌った
  ・あまつましみづ ながれきて ――開化の乙女の祈り  ・ゆうぐれしずかに いのりせんと ――新体詩と讃美歌
  〈人物プロフィール〉奥野昌綱  〈人物プロフィール〉松本ゑい子
  〈詩壇エピソード〉華厳滝に流す独歩、花袋の詩稿
さくらの花の、さかゆる御代に…… ――新しき歌声・唱歌
  ・さくらの花の、さかゆる御代に ――小学校に響くさくら歌  ・千鳥のおくも。おきなはも ――新生日本の出発
  ・あふげば尊し ――別離の抒情歌として  〈音楽こぼれ話〉「蛍の光」はクリスマス・ソングだった
我は官軍我敵は…… ――「抜刀隊」マーチから軍歌へ
  ・我は官軍我敵は ――鹿鳴館に響く吹奏楽  ・海ゆかば水浸く屍 ――軍歌いま昔物語
  ・敵は幾万ありとても ――新体詩の流行から軍歌へ  ・煙も見えず雲もなく ――日清・日露の戦史を歌う
  ・守るも攻むるも鋼鉄の ――いまも演奏され続ける行進曲の傑作
  〈人物プロフィール〉外山正一  〈音楽こぼれ話〉軍歌「敵は幾万」の作詞者山田美妙斎
  〈人物プロフィール〉佐佐木信綱  〈人物プロフィール〉瀬戸口藤吉
おもえば遠し 故郷のそら ――少年立志と望郷歌
  ・われは都にのぼるなり ――明治少年のたちの夢と希望  ・おもえば遠し 故郷のそら ――明治望郷歌
  ・夕焼、小焼のあかとんぼ ――ふるさとへの抒情  ・兎追ひしかの山、小鮒釣りしかの川 ――故郷を思う大正唱歌
  〈人物プロフィール〉宮崎湖処子
君が代は千代に八千代に ――国家としての「君が代」
  ・さざれ石の巌となりて ――ウェーブとフェントンの曲  ・君が代は千代に八千代に ――海軍省と文部省をめぐって
  ・巌となりてこけのむすまで ――「君が代」曲余談
あはれ すあしの おとめ子よ ――異国のメロディを日本に
  ・庭の千草も、むしのねも ――アイルランドの古謡を唱歌に  ・あはれ すあしの おとめ子「マッチ売りの少女」から
  ・眠れ眠れ、可愛し緑子 ――東西「子守唄」比べ  〈人物プロフィール〉近藤朔風
われは湖の子さすらいの ――響け新しい歌声
  ・青葉茂れる桜井の ――歴史唱歌の流行  ・むかしむかし、うらしまは ――児童には児童の歌を
  ・われは湖の子さすらいの ――歌え青春の学生歌  〈人物プロフィール〉奥山朝恭
  〈人物プロフィール〉田村虎蔵  〈音楽こぼれ話〉唱歌の「言文一致」運動
  〈人物プロフィール〉落合直文  〈音楽こぼれ話〉佐藤紅緑の『あゝ玉杯に花うけて』
汽笛一声新橋を ――近代文明への讃歌
  ・汽笛一声新橋を ――『鉄道唱歌』は歌い継ぐ  ・汽車は煙を噴き立てて ――みちのくへ伸びる鉄道網を
  ・箱根の山は天下の険 ――一躍「箱根」を有名に  ・我は海の子 ――海山の歌声
唄を忘れた金糸雀は ――白秋、八十、雨情の童謡の時代
  ・いのち短し恋せよ乙女 ――黒沢映画によみがえった浪漫歌  ・お山の大将俺ひとり ――シティ・ボーイ西条八十
  ・ちんちん千鳥の啼く夜さは ――白秋の孤独  ・十五夜お月さん ――野口雨情の母恋い歌
  〈詩壇エピソード〉「雨はふるふる城ケ島の磯に」 白秋悲愁  〈詩壇エピソード〉児童雑誌『赤い鳥』の芸術運動
  〈詩壇エピソード〉中原中也に降る雪は
叱られて あの子は町まで ――抒情歌としての童謡
  ・待てど暮らせど来ぬ人を ――大正浪漫を歌う竹久夢二  ・叱られてあの子は町まで ――清水かつらの抒情歌
  ・きんらんどんすの帯しめながら ――蕗谷虹児の絵と歌の世界  〈音楽こぼれ話〉「宵待草」には西条八十作の二章があった
エピローグ 春のうららの隅田川 ――夭折の天才滝廉太郎の東京歌
  ・錦おりなす長堤に ――東京を歌う唯一の唱歌  ・春は名のみの風の寒さや ――「早春賦」から「夏の思い出」まで
  ・ものみな歌でおわる ――マス・メディアに消えた
あとがきにかえて



小川和佑著『花暦十二ヶ月』カバー 四季の日本
花暦十二ヶ月
 
竹林館
平成16(2004)年3月30日発行
定価(税込):1,470円
142頁 A6判
ISBN4-8600-065-X
〔目次〕  まえがき
一月  福寿草/寒桜
二月  梅/椿
三月  蒲公英/馬酔木
四月  桜/連翹
五月  勿忘草/野ばら(茨の花)
六月  橡の花/アカシア(針槐)
七月  沙羅の花/向日葵
八月  宵待草(月見草)/都草(黄金花・烏帽子草)
九月  秋の七草
     (萩・芒・葛・撫子・女郎花・桔梗・藤袴)
     赤まんま(犬蓼)
十月   コスモス(秋桜)/曼珠沙華(彼岸花)
十一月 菊(菊を炊く)/返り花
十二月 茶の花/冬薔薇 
 選句索引  あとがき  参考文献

 昨年(平成15年)一年間「俳句四季」に連載された「花暦12ヶ月」が単行本になりました。季節の野菜を俳句とともに味わった『旬の菜時記』と対を成す可憐な一冊。
 今度は折々の花を愛でる。花屋の花ではない。野の花をである。装幀もたいへん美しく、小著ながら、贅沢な愛蔵本といった仕上がり。いつも座右に置き、花と季節と詩情を味わう。そんな一冊。
 巻頭に曰く。
「日本の四季は花を廻って輪廻のように歳月を経てゆく。ひとつの花が咲き、やがて散り、次の花が再び咲く。私たちはこうして四季折々の花々を古代から眺め、心を託してこの風土を生きてきた」
 なお、『旬の菜時記』にも、間奏曲風に「花づくし十二ヶ月」という章がありましたが、それとの重複は避けられていますので、是非併せ読まれたい。 (西山正義)



小川和佑著『花と団子の東京散歩』カバー

東京名所花暦
花と団子の東京散歩

廣済堂出版
平成16(2004)年3月27日発売
定価(税込):1,575円
198頁 A5判
ISBN4-331-51042-5

「自然はどれほど精巧な建造物より美しい。かつて、江戸の自然のめぐりを描いた名著があった」−岡島鳥文・長谷川雪旦画の『江戸名所花暦』である。初版以来170年、現在でも再版され続けている超ロングセラー。本書は、その『江戸名所花暦』の現代版。
 花の名所案内を現代の東京で再現。「失われた江戸の名花や明治近代以降、新しく海外から渡来した花々までをも含めて、東京の四季を遊覧する花暦」である。
 図版や地図も多数収録。「食味どころ」案内も添えられているのが、元本にはない特色。帯に謳われた「グループ散策に、俳句・短歌の吟行に最適!!」という広告文に偽りなし。




小川和佑著『あらすじで味わう名作文学』カバー
 監修 小川和佑
 
あらすじで味わう名作文学
  古今東西の名著三〇選

 
 廣済堂出版
 平成16(2004)年2月27日発売
 定価(税込):1,260円
 221頁 A5判
 ISBN4-331-51030-1
古事記/伊勢物語/源氏物語
平家物語/好色一代女/五重塔
たけくらべ/雁/こころ
羅生門/夜明け前/暗夜行路
風立ちぬ/細雪/雪国
人間失格/金閣寺/三国志演義
ハムレット/ドン・キホーテ/若きウェルテルの悩み
赤と黒/モンテ・クリスト伯/二都物語
レ・ミゼラルブ/罪と罰/戦争と平和
車輪の下/ジャン・クリストフ/武器よさらば




小川和佑著『桜の文学史』(文春新書版)カバー

桜の文学史
(文春新書 363)
 

文藝春秋
平成16(2004)年2月20日発行
定価(税込):861円
291頁 新書判
ISBN4-16-660363-9

〔目次〕
第一章 さくら讃歌――序にかえて
第二章 古代に咲く=飛鳥・奈良時代
第三章 王朝絵巻の桜=平安時代(前)
第四章 薄明に咲く=平安時代(後)
第五章 さくら美の完成者たち=鎌倉時代
第六章 さくらのドラマツルギー=室町時代
第七章 聖から俗へ=桃山時代
第八章 新しいさくら文化の開花=江戸時代
第九章 文明開化とさくら=明治時代
第十章 さくらの歌びとたち=大正時代
第十一章 桜の文学=昭和時代(前)
第十二章 現代文学に咲く=昭和和時代(後)
第十三章 忘れ得ぬ桜=現代
 さくらの文献目録・解題  日本のさくら一覧  あとがき

 1991年3月、書き下ろしの長篇評論として朝日文庫(朝日新聞社)から刊行された『桜の文学史』は、その後数多く出た小川和佑先生の桜関係の著書の中でも中核を成す文芸評論である。それが長らく絶版になっていた。今回、新たに第十三章ほかが増補され、待望の新装版が出た。前回の文庫版も良かったが、この本には新書スタイルが似合っているかもしれない。
 桜に特別な思いを寄せる私たち日本人。その文化、歴史、精神構造。桜がなにゆえ文学者の心を捉え、詩歌や小説のモチーフ、テーマになってきたか。古代から現代、そして次代へ。
 今年もやがて桜が咲くだろう。あとがきに曰く。
「春、満開のさくらの樹の下でこの一冊を携えて、それぞれのさくらの詩歌や物語に思いを寄せてもらえれば幸いである」
 さあ、この本を読んで、桜を見に行こう。そして、日本人の心の源泉を確認しよう。 (西山正義)



小川和佑著『時代小説巡遊記』カバー
 時代小説巡遊記
 
剣の精神と武のこころ

 
 光芒社刊
 平成14(2002)年7月20日発行
 201頁 19cm
 定価:1,500円(税別)
 ISBN4-89542-195-3
〔目次〕
   時代小説の楽しみ―まえがきにかえて
1 描かれた時代小説の名刀―名作の刀剣をめぐって
   司馬遼太郎と名刀説話
   司馬文学と日本人の心
   東郷隆と時代小説『にっかり青江』
   民俗学を新しい伝奇小説に
   『日本浪曼派』五味康祐の憂国
   刀に寄せる五味康祐の悲願
2 時代小説が描く武道―その描写の虚実を読む
   池波正太郎の『剣客商売』を読む
   早乙女貢の伝奇小説
   江戸歳時記を描いた平岩弓枝
   鮮烈・津本陽の武道小説



小川和佑著『旬の菜時記』カバー

旬の菜時記

廣済堂出版
平成13(2001)年7月26日発行
定価:1,400円(税別)

*2006年3月31日現在、版元品切れ

 季節の野菜を味わうように、それを季語とした俳句を味わう。楽譜の構成を意識しながら、月ごとに俳句とその鑑賞が並べられている。
 今日は立秋。8月のページを開き、山頭火の句を食してみた。「夕立が洗っていった茄子をもぐ」の句。その隣に、「空はもう秋の訪れ、午後は壮大な雷雲が湧き立ち・・・」。鑑賞の文章が、ひとときの驟雨と、山頭火の孤独な姿を教えてくれる。茄子をもぐ山頭火。まだ残っていた滴が、掌を濡らしたに違いない。僕には、山頭火がその時、空を見上げ小さく頭を下げたように思えた。
 今、外は雨ではない。しかし連日続いた真夏日が一段落し、雲が広く影をつくっている。9月のページは、まだ開かずにおこう。旬を味わう。そんな贅沢な読み方が、あってもいいだろう。 (水南森)



小川和佑著『「三四郎」の東京学』カバー

「三四郎」の東京学

NHK出版
平成13(2001)年1月30日発行
定価:1,400円(税別)
NHK出版:『「三四郎」の東京学』

 『東京学』(新潮文庫)の姉妹編として書かれた本書なので、『東京学』の読者にはお薦めだ。そしてもちろん、まだ『東京学』を読んでいない人でも、充分に楽しめる内容だろう。
 夏目漱石が作り上げた「三四郎」がおよそ一世紀前に歩いた東京を、あえて今歩いてみる。地方出身の青年「三四郎」があの時に感じた東京は、現在どのように変わっているのか、そして変わっていないのか。読者は読み進むうちに、文学論としての「三四郎」論からでは分からなかった、あの時代の青年像を感じるに違いない。 (水南森)



小川和佑著『刀と日本人』カバー

刀と日本人
もう一つの日本美

光芒社刊
平成12(2000)年12月30日発行
定価:1,600円(税別)

 古代の刀から始まって、三島由紀夫にまで至る深い考察。しかし、それで終わっていたならこれはノスタルジーとして輝く著作だった。ところが、論はドーバー海峡を掘削したカッター・ディスクへと展開する。それは現代であり、トビラの開いた21世紀の可能性でもある。
 最先端技術を駆使した掘削機械に取り付けられた、和鋼による日本刀工法のカッター・ディスク。この、ハイテクとローテクの調和に、僕達の21世紀のあるべき姿が見えてくる。
 20世紀の終わりに出されたこの著作は、先生からの若者への贈り物に思えてならない。 (水南森)



小川和佑著『東京学』(新潮文庫版)カバー

東京学
(新潮文庫 6449)

新潮社
平成12(2000)年4月1日発行
定価:438円(税別)
新潮文庫:『東京学』

 これは、四年前(1996年1月)、経営書院から刊行された同名著書の文庫版ですが、単にダウンサイジングされたものではなく、随所にその後の事象が加筆された上に、新たに第9章として「首都圏という名の東京」という新稿が加えられています。先生の数ある本の中でも異色の一冊。東京を語るに相応しい軽妙な語り口で書かれています。
 江戸ではない明治以降の東京。たとえば大阪などと異なって、そこには大きな歴史的変遷があります。東京とは何ぞや。その風土と人と文化。君は東京が好きか。それとも何だ東京なんかと思うか。いずれにしろ、東京人の本質を鋭く洞察した本書は、目から鱗の一冊なのでした。 (『日&月』編集室)



小川和佑著『日本の桜、歴史の桜』カバー

日本の桜、歴史の桜
(NHKライブラリー 113)

NHK出版
平成12(2000)年2月20日発行
定価:1,020円(税別)

*2004年3月5日現在、版元品切れ

 昨年(1999年)四月、毎週日曜日の夜、NHKラジオ第二放送の文化セミナーにおいて、小川和佑先生の「桜物語」と題された講座が四回に渉って放送されました。これはたいへん好評だったようで、聴かれた方も多いと思いますが、この放送を聴いた人にはもちろん、聴き逃した人にとっては待ちに待った著書が出ました。
「花見の歴史」「西の山桜と東の染井吉野」「桜の妖精たち」「逝く春の里桜の物語」の四章が、互いに重層化し、あたかも弦楽四重奏のように構成されています。さらに、放送原稿とは別に書き下ろされた「桜物語のための四重奏」という四つの物語が説話風に、本篇のいわば変奏曲として奏でられます。
 桜の季節になると、書店の店頭を賑わす桜関係の本の数々。その多くが、単なる桜の解説本で、たとえるなら切り花。花見の時が過ぎれば、忘れられてしまうものです。しかし本書は、日本の文学・歴史という幹をもち、風土にしっかりと根を張る、生きた桜誌です。満開の桜が僕らに精気を注いでくれるように、この本は、桜の花が散ったあとも、読者に日本の文化の精気を与えてくれるでしょう。 (『日&月』編集室)


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