講座コード: 05220020(公式ガイド)
〔講座趣旨〕
1926年から始る昭和史に見る数々の名作文学に描かれた食味と食卓風景を通じて、思い出の食、懐かしい味を従来の名作鑑賞と一味異なる視点から講義する文学史論。例えば、横光利一の「旅愁」の和洋食、宮沢賢治の白パン、高見順のお好み焼き、立原正秋の蓮飯、e.t.c.
〔講義概要〕
第1講 2005/10/07
−戦争と食料難が始まる−
米穀配給統制法公布。1937(昭和12)・7・5「旅愁」新聞連載打切り。学校給食第1号体験記。
伊藤桂一と富士正晴の描いた兵隊の食「帝国軍隊に於ける学習・序」と「蛍の川」。
第2講 2005/10/21
−フィールドワーク−
都内野外講座
第3講 2005/11/04
−飢える戦中、戦後−
極限下の飢餓に人間を問うた大岡昇平の名作「野火」と、武田泰淳の「ひかりごけ」。飢餓時代を綴る永井荷風の「断腸亭日乗」。
第4講 2005/11/18
−カストリ・バクダン、いまは幻、闇市の世界−
破滅する太宰治と「斜陽」と、飢える少年を描く開高健の「青い月曜日」。
第5講 2005/12/02
−「大きいことはいいことだ」グルメ時代の到来−
初めて食味が文学のテーマとなった海老沢泰久の「美味礼讃」。夜明けのコーヒーを描く中村真一郎の「恋の泉」。慎ましい懐かしい味を書き遺した中里恒子の「時雨の記」グルメ時代への批判、考察。
第6講 2005/12/16
−食文化の転換とその後−
学校給食が食文化を変えた。多様化時代の食、村上春樹の「ノルウェーの森」と、反骨立原正秋が求める伝統の味を描く「春の鐘」。
※この講座は前期から開講している通年講座のため、後期は追加募集となります。
誠に遺憾ながら、この平成7(2005)年の講座案内パンフレットが手元にありません。ないのはこの年(前期・後期ともに)だけなんですが……。講座を企画している明治大学事業課の担当だったNさんが(おそらくその年の春)異動になったため、我が家に送られてこなくなったのです。このページは、当時の公式サイトのデータから転記したものですが、前期のデータを記録損なっていたようです。
しかしそれにしても、これをアップしていた時は、まさかこの三か月半後に、明治大学リバティ・アカデミー(当時の表記)の事務局に勤めることになろうとは夢にも思っていませんでした。そして、小川和佑先生の長いキャリアの中で、現役講師だった最後の五年間を一緒の教室で過ごせたことは私にとって何よりの幸せでした。
明日は、小川和佑先生の一周忌の命日です。何も出来ないまま今日まで来てしまいました。せめて「講座案内」のページの欠落を補おうと、ここに一筆書き添え、十年ぶりにこのページを更新します。
――平成27(2015)年9月19日 西山正義
−以上「明治大学リバティ・アカデミー総合案内(2005年・後期)」より転載−
*お問い合わせ・申し込みは明治大学リバティ・アカデミー公式WEBサイトへ